Happy ever after

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「じっと目を見てああいうこと言われたら、 ……キスしたくなった」 親指が、私の唇をたどるように撫でていく。 こういうセクシャルなスイッチが入ってしま ったら、逃げられない。 ううん、逃げようなんて思っていないのだ。 妖しい色香を帯びた瞳に囚われたいとすら、 切望しているのだから。 「顔に、もっと続きしたいって書いてある」 きっと、全て手に取るように分かっていたの だろう。 意味深な笑みを見せた直後に顔が傾けられ、 そのまま近づいてくる。 重なってすぐどちらともなく舌を絡め合い、 熱い口づけを交わした。 まともなスキンシップはいつぶりだろうか。 ここのところ夫婦二人の時間が作れなかった せいか、触れたら最後止められなくなって、 次第に、濃密さを増す。 「んっ、ん……、んん」 舌を吸い上げられ背筋がゾクゾクした瞬間、 片手が後頭部に回って手のひらで固定され、 空いたもう片手の手で腰を抱き寄せられる。 衣服越しに密着した体はじんわりと熱くて。 肌身で、ダイレクトに訴えられると我慢でき なくて、体の奥深くがきゅんと疼き始めた。 それからどのくらい夢中になっていたのか。 唇が解かれた頃にはもう根こそぎ溶かされ、 両手で、その背中にしがみついていないと、 今にも崩れ落ちてしまいそうなほどだった。
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