Happy ever after

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直生が、わずかに息を乱しながら深い欲情を たたえた瞳で見下ろす。 今の私、とてつもなくいやらしい顔してる。 想像しただけで恥ずかしくてたまらなかった けれど。 熱さで、ぼんやりしていて頭は使い物になら なくて、手で顔を隠すこともままならない。 「可愛い」 ぎゅっ、と逞しい腕の中に閉じ込められる。 全身を脱力させされるがまま委ねていたら、 耳元に、口づけられた。 結婚後も変わらず愛を注いでくれることが。 愛するあなたがただ側にいてくれることが、 私にとってどんなに力になっていることか。 「直生、……好き……」 呟いて、厚い胸板に顔を埋めてしがみつく。 私も負けないくらいたくさん気持ちを伝えて いこう。 そんな思いからもう一度「好き」と言うと、 抱き締めたその腕にかすかに力が込められ、 耳元で吐息混じりに低く「俺も」と告げる。 甘い雰囲気に飲まれてしまったのだろうか。 「好きだよ」と続けた唇がこめかみに触れ、 頬から耳朶に移動する。 「愛也、ベッド行こう」 少し掠れた声で囁かれた途端に頬が染まり、 とくん、と早鐘が打つ。 今夜は、もっと甘くてもっと熱い夜になる。 そんな淡い予感を覚えながら小さく頷くと。 この後、とろけるような微笑を見せた夫と、 私は寝室へと向かった。
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