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愛也は、本人が忘れてしまっていることも、
そうやって覚えていて。
「全部、嬉しかったよ」
無垢でまっすぐな言動にほんわかしながら、
こめかみにも口づける。
表情が、淡く色づいたのを見て満足すると、
ほほえんで唇を重ねた。
さっきこうした時は衝動的に貪ったけれど。
今度は、味わうように丁寧に溶かしていく。
必然と、意識も五感も塞がれた唇へ集中し、
背後は隙だらけになる。
「んっ、……ふっ……」
指先で、うなじから背筋を撫で上げて擽る。
ぴくん、と体が揺れた拍子に舌を潜らせて、
敏感な先端をなぞればすうっと力が抜けた。
今まで、ただ欲求に従ってスキンシップをと
っていたわけじゃない。
この一瞬を待っていた。
「わっ」
ぽふっ。
愛也を、抱きしめたままソファに押し倒す。
驚いて、固まっている顔を上から見下ろし、
ちゅっ、と唇を啄んでふんわりと微笑する。
けれど。
数秒後、みるみる内に顔色は変化していき、
俺とは対照的な不安と戸惑いの色が浮かぶ。
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