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ここではやっぱりそういう気にはなれないと いう意思表示だろうか。 そんな、一抹の予想が頭をよぎったのだが、 違った。 「今日は私の負けです」 「ん?」 「もう、……降参です」 抑えた声でそう言うと。 もう片方の手をそっと背中へ回して抱きつい てくる。 愛也らしい慎み深い言葉に思わず込み上げ、 自分も抱きしめ返した。 これは、俺のわがままみたいなものなのに。 受け入れてくれたのだ。 「俺も、欲しくて限界」 恥ずかしげに瞳を潤ませた妻を見つめたら、 迷うことなくしなやかな唇と重ね合わせる。 今夜は、ソファでもう二度もこうしている。 ぽわんと上気した顔が物語っていたように、 すぐに迎え入れられた。 気持ちを確め合った後。 それも、2週間ぶりに触れられた高揚から、 何度も、熱を求め合う。 「ふっ、……んん……」 愛也が、甘い声と吐息を漏らしては応える。 左手を、はだけたランジェリーの中に入れ、 すべすべした肌を撫でてから奥へと進むと、 装飾があしらわれた丸いカーブを捕らえる。 そこまで到達してしまったら待てなかった。 指先の感覚を頼りに生地の上から包み込む。 ぴくっ、と体が反応したのを震動で拾うと、 今度は、内側に侵入して直に胸元に触れた。
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