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その夜。
21時。
披露宴、カジュアルレストランでの二次会を
終えて、家族や友人達と別れた愛也と俺は、
タクシーで結婚式を挙げたホテルに戻った。
明日は、揃って休みだ。
今夜は、そこのスイートルームで1泊する。
「愛也。
今日は1日お疲れさま」
冷蔵庫にあったミネラルウォーターを持って
くると、ソファに腰を下ろした愛也が「あり
がとうございます」と言いながら受け取る。
お互い、気の置けない友人達と飲食をして、
楽しく、過ごしていた。
余韻が心地よくて名残惜しい感じもするが、
ほろ酔いのままだとシャワーを浴びれない。
自分もその隣に座るとペットボトルを開け、
冷えたそれを流し込む。
「……直生のほうこそ」
同じく、ミネラルウォーターで水分補給した
愛也が、ぽつりと呟く。
「休みもなかなかとれなくて疲れてるのに、
打ち合わせもドレス選びも全部来てくれて。
本当にお疲れさまです」
そして、にこやかに労いの言葉を口にする。
ウェディングドレス姿も美しかったけれど。
私服のニットとスカートに着替えを済ませ、
優しく接する妻の顔はほのぼのとしていて、
ホッと、気持ちが和む。
「細々したことは任せきりになっちゃって、
申し訳なかったけどな」
「そんなことないです。
一緒に準備できて私は楽しかったですよ?」
実際は、決めないとならないことがいっぱい
あって、大変なんてものではなかったはず。
なのに愚痴をこぼすどころか明るく笑って、
フォローをしてくれる。
夫婦になってまだ1年とちょっとだけれど、
自分にはもったいないくらいできた奥さんだ
と思う。
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