9/29
前へ
/188ページ
次へ
21時。 ソファに並んで座ってプリンを食べてから、 久しぶりの夫婦団らん。 「関東にも良い温泉がたくさんありますね」 「ああ、これは迷うな」 それぞれ違う温泉地のカタログを見ながら、 温かいお茶を口に運ぶ。 群馬と栃木は温泉県で。 『草津』『鬼怒川』『伊香保』『日光』と、 一度は聞いたことがある地名がいくつも載っ ている。 温泉地ごとに良さがあるからどれも気になる けれど。 1泊2日の日程でタイトだし車で向かうし、 移動時間も考えないと。 「あっ、ここいいかも」 二冊目のカタログを眺めていた愛也は言い、 ページを広げてみせる。 見ると、神奈川の箱根温泉の文字があった。 「東京から車で1時間くらいみたいですよ。 近いし、いいですよね」 そう言われ次は交通アクセスに目をやると、 高速からインターを乗り継いで行けば1時間 で着くと書かれていて。 日程上、往復2時間というのはありがたい。 「うん。 いいね、箱根行こうか」 他も捨てがたいが今回はここがベストかな。 手元のカタログを閉じてテーブルに戻すと、 愛也と、肝心の温泉宿をチェックしていく。 場所柄からなのかホテルよりも旅館が多い。 木造の和風の建物は写真からも趣が伝わり、 見るだけでも楽しめる。 「ふふ、ちょうどいい所があって良かった」 「え?」 「箱根なら1時間で直生も運転疲れないし。 近い分、二人でゆっくり過ごせるかなって」
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1080人が本棚に入れています
本棚に追加