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「もか、アレ喋ったのか?」
「アレって?」
「同棲」
「……あ、それね……」
思わず言い淀む。4月から春と同棲したいことは、郁兄には既に伝えてあった。郁兄が彼女を連れてきた時に、思い切って打ち明けたから。
何を言われるだろうかと不安がる私に、「別にいんじゃね」と、あっさり許可をくれた。
おばさんにもその意思を伝えたけれど、運悪くその話を聞いてしまったおじさんは、そのまま失神してしまった。
仕方ないわねーなんて言いながら、うんうん唸るおっさん1体をズルズルと引きずっていくおばさんは、いつだってマイペース。リビングの床に、ごろりとおじさんを転がしていた。
つまり中途半端に話が終了してしまったから、それ以降、この話はしていない。
「あー、それはもうだめだな。しんだわ。ストレス性ショック死だな」
「勝手に殺さないでよ。可哀相だよ」
「今さらだろ」
「さっきも頭のことからかわれて、部屋の隅っこで泣いてたよ」
「面白かっただろ」
「面白かったけど」
なんて、正直に言ってしまう私も大概ひどい。
おじさんはもはやこの家で、いじられキャラとして確立してしまっている。
「でも、その様子なら反対されるだろうな」
「……そうだね」
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