運命が動き出すとき

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 ロロはしばらく泣きじゃくり少し気持ちが落ち着いてきたところで顔をあげた。孤児であったことは物心ついた時から聞いていた。両親が迎えに来る可能性も伝えられていたけれど、ロロとしてはあまり現実感がなかった。兆しが見えた今も。  「ミツカ、どうして……孤児だった私に迎えが来るって……」  「私は占い師だ」  「うん」  「腕利きのな」  「うん」  「9年前、この町にひとりの騎士が来た。どういうわけか私はすぐに子どもを連れて来なければならないと思ったのさ。何も迷わなかったよ。4つ先の町のはずれにあった孤児院、見渡してすぐにあんただってわかった」  「その騎士様と私は……その、関係があるの?」  「たぶんね。入れ違いになってしまったからその後は知らない。ロロを見れば充分だったよ」  ロロは神妙な顔をして俯いた。ミツカはよく言う。占い師の直感は理屈じゃない。ただわかるのだと。  「私は……探されているのかな」  本当の家族に。という隠れた言葉を正しく聴き取ったミツカは穏やかに微笑った。  「探してみてもいいんじゃないかい。ただ、待っているより自分から動いたほうが答えが見つかるさ」  「それも、占い師の直感?」  「ロロの養い親としての意見さ。あんた、うじうじしてるの嫌いじゃないか。仕方がないから付き合ってあげるよ」  少々口の悪い養い親にロロは抱き付いた。もしも見つけた家族がミツカを否定するなら決別すればいいのだ。心が決めれば行動は早い。2人は旅に出た。    
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