#6 不良狩り

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「あやちゃ〜ん、今日もかわいいねぇ〜。ねぇねぇ、一緒にホテル行こうよ〜、この店では、後あやちゃんだけだよ〜」 真ん中に座る顔立ちの整った男が、隣に座るキャストの女性へベタベタくっついている。 あやと呼ばれた女性の表情からは、嫌悪感を隠した苦笑いがいじみ出ていた。 「ちょっとやめてください。」 その心細い抵抗は、男には何一つ通用せず、仕切りにホテルに行こうとか、触らせてくれ等しつこくせがんでいる。 周りにいる女性は口を出すことはなく、舎弟と思われる男達はその行為に対してはやし立てる。 「そのお胸は、どんな形してるのかな〜?」 男の手は、あやの胸へと伸びていく。 「やめて下さい!!」 あやは、男の手を払い退ける。 だが、それはこの場ではしてはいけない事だった。 「お前…何?死にたいの?」 男の目から、殺気が放たれる。 「ひっ!!」 あやは恐怖し、顔が引きつる。 「嘘だよ〜、こーんなかわいいあやちゃんを殺す訳ないじゃ〜ん。でも、少しむかついたかな。」 「そうだ!!兄貴に謝れ!!」 舎弟の一人が、あやに兄貴への謝罪を要求する。 「あ?」 「あ…兄貴?」 その言葉を吐いた舎弟へ、さっきより強い殺意を込めた睨みが向けられる。 と同時に、 ゴン!! 男の長い足が、舎弟の顔面を踏みつける。 そして、兄貴と呼ばれた男は舎弟の顔がぐちゃぐちゃになるまで、何度も足を振りおろし続ける。 「あースッキリした。ねぇあやちゃん、胸触らせてくれてもいいよなぁ?」 「は…はい。」 あやは、地面に血だるまで転がる舎弟の姿を見て、もしこの男に背いたら、自分もこうなると思った。 その時、スーツ姿の初老の男性が、この殺伐としてテーブルへ駆けつける。 「お客様、当店はお触りと暴力行為は禁止です。」 「何だよ店長邪魔すんなよ。今までよかったじゃんか?」 「許した覚えはありません。」 「えぇ〜、そうなの?」 先程まで散々舎弟を殴ってスッキリしたせいか、店長の言いつけには、まだ激怒する様子はなかった。 「それに、いい加減に店のツケを支払ってもらえませんか?」 ツケというのは、未払いの飲食代。その通称である。 「つけー?そんなもんあったかな?」 とぼける男に対して、店長は我慢の限界だった。 「お前!!本当にえぇ加減にせ」 ガキン!!! 店長が全ての言葉を言い切る前に、男の拳が店長の顎を殴る。その拳には、金属性のメリケンサックが握らていた。 「ゴッ…!!ガッ!!」 「店長!!」 店長の顎は砕け、口の中は血で満たされ溢れた血が床に広がる。 「誰に向かって口聞いてんだ?あ?」 男は店長の髪を掴んで持ち上げる。 「前にもいったよな?俺は、横浜を仕切る三国同盟の幹部、青のチームのリーダー如魏(キサラギ)ってよー、俺がこの街で一番だ。 だったらお前みたいな雑魚共と女は俺に逆らう訳ねぇよなー。」
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