#6 不良狩り

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その責任を、ここで一人戦う相良へと押し付けている。 そう、思えた。 そういえば、少年院から桜木町までのバスで、女の子が言っていた事を思いだす。街は、不良連中を倒す相良剣一を求めている。 また、皆殺しにしてほしいと。 その思いは不快でしか無かったが、今はその望み通りに動いている。 因果応報という奴だろうか? 物事は、なるべくしてなる。 全く嫌になる。 「俺…」 相良「?」 一人残された大男は、俯き静かに口を開く。 「こんなに街の人から嫌われて…悪い事…してたのかな?」 相良「は?」 大男の口から出た言葉は、不可思議な物だった。 まるで、今までの悪事、他人に迷惑をかけていた事を自覚していなかったような言葉だ。 どういう事だと疑問に思う相良。 相良「…何言ってんだ?お前達は散々ひどい事をしてただろ。」 「そうだったのか…俺は…俺は…兄貴のいう通りにしてたら、街の為になるって…俺達が街で一番になれば、みんな喜ぶって…」 相良「…」 よし、意味がわからん。 …少し翻訳をしてみよう。 この大男を天然と確定させてみよう。 で、その兄貴はクソ野郎としよう…いや、まだ会ってないから、仮にクソ野郎としよう。 そうすると、こいつが兄貴という奴がこの大男に命令をしたとして。 街の為に…というのは恐らく体のいい言葉で、一番になるっていうのは支配する事だろう。 そして、皆が喜ぶは、不良連中が喜ぶ事。 まとめると、街で一番の不良グループになれば、自分達が好き勝手できて、クズ共が感謝感激という訳か。 じゃあ、この大男は勘違いか騙されてたって事だな。 はい、翻訳終了。 相良「お前はどうしたいんだ?」 「俺は、街の人や、仲間が喜んでくれるって思って…」 相良「そうか。ただ、街の人は喜ぶどころか、お前達を恨んでるよな。」 周りを身這わすと、取り囲む多くの群衆は今までの恨みを晴らす様に、各々が言葉のヤジを叫んでいた。 その状況の中、大男は肩を落として落胆していた。 「…俺は、俺は…謝らなくちゃ…」 相良「別に謝んなくていいよ。今のこの喧嘩は、俺とお前達の問題だ。関係ない奴が言いたい事言ってるだけで、気にする事はない。」 「でも…」 相良「お前、名前は?」 「俺は、キョウチョウ。」 相良「キョウチョウ?日本人か?」 キョウチョウ「いや、俺は日本で育ったけど。俺の親は中国人だ。」 相良「そうか…まぁいい。キョウチョウ、お前がしなければならない事は、たった一つだ。」 キョウチョウ「な、なんだ?」 相良「俺を、お前達のボスに会わせろ。それだけだ。」
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