#6 不良狩り

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如魏「あ…あと…」 相良「何だ?」 如魏「三国同盟では俺が一番強い。でも、何で劉崎が総長してんのか、少し考えた方がいいと…思います。」 相良「…あーそう。」 相良は、如魏の助言めいた言葉もあっさりと受け流す。 どんな奴だろと、不良には変わりない、如魏が一番強いと言っておきながら、結局は雑魚。 劉崎という男が、どんな奴かは知らないが、どうせ弱いんだろう。 相良はそう思っていた。 尾賀「…」 そんな相良を、尾賀はじっと見据えていた… この店にはもう用はない、最後に如魏の着ていた衣服から財布を取り出し、中を開けると一万円札が束で入っていて、ざっと100万円近くはあった。 それを取り出し、店長と思われる初老の男性に差し出す。 相良「すいません、店を壊した分のお金です。これで足りますか?」 「あ…はい。本当にありがとうございました。おかげでこちらもスッキリしました。こいつらには、いつも困らされてばかりでしたから。」 「ありがとうございます。」 店長に続いて、女性達も頭を下げる。 相良「いえ…ご迷惑をおかけしました。」 尾賀「お前はもう行っていいぞ。」 如魏は、最後に服を手に取り、泣き叫びながら店を飛び出して行った。 これで、赤のチームに続き、青のチームも壊滅させた事になる。 少年院からでたばかりの、たった一人の若者がだ。 去年、この町の均衡を保っていた異人連と呼ばれる組織がほぼ壊滅してから1年間。 この町をまるで我が者にしたかのような三国同盟が、たったの1日でその3分2が消えた。 残りは緑のチーム、そして劉崎という男だけだ。 忘れてはいけないのは、壊滅が目的ではなく、あくまで両親の行方を知る者を探す事が目的… その筈だった。 尾賀「…」 尾賀は、黙って相良の様子を観察し考察していた。 もしかしたら、この相良剣一という男は、危険なのかもしれない…と。 聡美「夜中まではまだ時間があるわね。剣一君、疲れたでしょ?一旦エンゲージに戻ろうか。ねっイチ。」 尾賀「…」 聡美「イチ?」 難しい表情をしている尾賀に、聡美が再び聞き返した。 尾賀「あ…おう。そうだな。」 相良「…」 一同は店を退店し、強面のマスターが待つエンゲージへと帰路に着いた。 その道中、街中では赤色灯を灯したパトカーと救急車が多く行き来きしていて、青い服を着た若者を運んでいた。 怪我がひどい者は救急車へ、それ以外の者は暴行の容疑でパトカーへ、ふと気がついたら、全裸の如魏もパトカーへ乗せられている光景を目にした。 これを相良一人でやったのかと、町の状況から改めて思い知ることになる尾賀と聡美、そしてキョウチョウの3人。 当の本人は、気にする素振りはなく、目立たないように移動をしていた。
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