#2 やり残した仕事

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部屋の中には、黒革のソファー、木製の背が低く縦長の木製テーブル、ソファーが対面にあり挟まれる様に机がある事から、この二つは主に対談に用いられる物だろう。 その奥には木製の書類が並べれた棚と、大きな事務机が置いてあり、上には、何かの書類が無造作に置かれていた。 それだげだと探偵事務所の様に見えるが、部屋の端々には古いゲーム機にレコードプレイヤーが飾られていて、まるで男子の部屋。 そんな印象もある。 やはり何度見回しても、人がいる気配はなかった。 相良「鍵をかけずにいるなんて…不用心だな。」 仕方がない。 また出直すとしよう。 そう思った時、部屋の隅に設置されたホワイトボードに目が止まる。 相良「な…何だ?これ…」 そこには、殴り書きの大きな文字で、確かにこう書いている。 『相良剣一氏の両親、相良宗一郎及び相良愛の行方』 それ以外にも、ホワイトボードには 現在行方不明 事件に巻き込まれた可能性あり 該当者…東誠会関係者とその写真 東誠警備…その幹部 仁々木組 そして、赤い文字で 『まずは相良剣一に会う!!』 そう書かれていた。 相良「なんで…ここは俺を調べてるんだ?」 理由がわからない。 ここに書かれている情報は、俺が劉崎から確認した情報とも一致する。だが、仁々木組というは初めて聞いた。 それに東誠会というヤクザの事も、そして俺の両親の事も… 更に東誠会関係者とその写真もある。 どういう事だ? 叢雲…探偵…事務所… 叢雲… … その時、逮捕された時に、俺を弁護してくれた人を思い出す。 確か、その人の名前も叢雲だった。 でも、それは弁護士で、探偵ではなかったはずだ… 同じ名前だけなのか… それとも… 動揺する俺は、無意識に周辺を見渡した。 その時、机の上に置いてある資料に目が止まる。 相良「こ…これは…」 『桜木町三十人乱闘殺人事件 死亡者リスト』 そう記載されていた。 これは、俺があの時… 香奈が集団暴行されていた時に、俺が殺した人間、その詳細があるのか? 資料を開けようと手を伸ばす。 だが、震えが止まらない。 これをみる事を恐怖している。 自然と冷や汗が頬をつたる。 実は、俺は誰を殺したのかを知らない。 警察で尋問をされた時、何枚かの顔写真を見せられて、貴方はこの人を知ってますか?という質問をされた。 その枚数は50枚以上は有った。 多分その中には死亡した人間と、そうでない人間が混ぜられていて、俺が殺そうとして殺した人間なら、顔を知っている。 衝動的な殺人か否かの判別だったのだろう。 俺は、その写真全ての顔を知りませんと答えた。 というか、覚えてなかった。 だから、俺を誰を殺したのか知らない。 死亡者リスト。 これを見るのが…怖い。 だが、見なければ…ならない。 震える手を押さえて、その死亡者リストに手をかける。 その時だった。 カンカンカン 相良「!!」 誰かが階段を登ってくる音が聞こえる。 まずい、ここの人が帰って来たんだ。 どうする!? ???「あれ?」 ???「どうした?」 ???「鍵が開いてるんだけど?」 ???「なに?誰か入ったのか!!」 二人の男の声が聞こえる。
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