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部屋の中には、黒革のソファー、木製の背が低く縦長の木製テーブル、ソファーが対面にあり挟まれる様に机がある事から、この二つは主に対談に用いられる物だろう。
その奥には木製の書類が並べれた棚と、大きな事務机が置いてあり、上には、何かの書類が無造作に置かれていた。
それだげだと探偵事務所の様に見えるが、部屋の端々には古いゲーム機にレコードプレイヤーが飾られていて、まるで男子の部屋。
そんな印象もある。
やはり何度見回しても、人がいる気配はなかった。
相良「鍵をかけずにいるなんて…不用心だな。」
仕方がない。
また出直すとしよう。
そう思った時、部屋の隅に設置されたホワイトボードに目が止まる。
相良「な…何だ?これ…」
そこには、殴り書きの大きな文字で、確かにこう書いている。
『相良剣一氏の両親、相良宗一郎及び相良愛の行方』
それ以外にも、ホワイトボードには
現在行方不明
事件に巻き込まれた可能性あり
該当者…東誠会関係者とその写真
東誠警備…その幹部
仁々木組
そして、赤い文字で
『まずは相良剣一に会う!!』
そう書かれていた。
相良「なんで…ここは俺を調べてるんだ?」
理由がわからない。
ここに書かれている情報は、俺が劉崎から確認した情報とも一致する。だが、仁々木組というは初めて聞いた。
それに東誠会というヤクザの事も、そして俺の両親の事も…
更に東誠会関係者とその写真もある。
どういう事だ?
叢雲…探偵…事務所…
叢雲…
…
その時、逮捕された時に、俺を弁護してくれた人を思い出す。
確か、その人の名前も叢雲だった。
でも、それは弁護士で、探偵ではなかったはずだ…
同じ名前だけなのか…
それとも…
動揺する俺は、無意識に周辺を見渡した。
その時、机の上に置いてある資料に目が止まる。
相良「こ…これは…」
『桜木町三十人乱闘殺人事件 死亡者リスト』
そう記載されていた。
これは、俺があの時…
香奈が集団暴行されていた時に、俺が殺した人間、その詳細があるのか?
資料を開けようと手を伸ばす。
だが、震えが止まらない。
これをみる事を恐怖している。
自然と冷や汗が頬をつたる。
実は、俺は誰を殺したのかを知らない。
警察で尋問をされた時、何枚かの顔写真を見せられて、貴方はこの人を知ってますか?という質問をされた。
その枚数は50枚以上は有った。
多分その中には死亡した人間と、そうでない人間が混ぜられていて、俺が殺そうとして殺した人間なら、顔を知っている。
衝動的な殺人か否かの判別だったのだろう。
俺は、その写真全ての顔を知りませんと答えた。
というか、覚えてなかった。
だから、俺を誰を殺したのか知らない。
死亡者リスト。
これを見るのが…怖い。
だが、見なければ…ならない。
震える手を押さえて、その死亡者リストに手をかける。
その時だった。
カンカンカン
相良「!!」
誰かが階段を登ってくる音が聞こえる。
まずい、ここの人が帰って来たんだ。
どうする!?
???「あれ?」
???「どうした?」
???「鍵が開いてるんだけど?」
???「なに?誰か入ったのか!!」
二人の男の声が聞こえる。
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