#2 やり残した仕事

3/9
前へ
/89ページ
次へ
???「泥棒か?」 ???「いや、それはないな。電気もつけっぱなしだ。そんな泥棒がいるか?鍵もかけずに電気もつけたままってことは、内部の犯行の可能性が高い。」 ???「えっ?」 ???「ここを出たのは、2日前の朝午前7時。そして最後に出たのは、誰だったけ?」 ???「おいおいおい。まさか、俺を疑ってるんじゃないだろうな?」 ???「おっ。察しがいいねぇ。」 ???「俺じゃねぇーよ!!な、何を証拠にそんな事を言ってんだ?」 ???「証拠ならある。」 ???「何だと?」 ???「ほら、そこのゴミ箱の中に、酔い覚ましのドリンク剤だけがあるだろ?」 ???「うん?おう確かにあるな。」 ???「ここのゴミ出しは2日前、俺はいつも朝6時にはゴミを出す。つまり、その空き瓶は朝6時以降にゴミ箱に入れられた事になる。 そして、俺達が横浜に向かう為にここを2日前の7時に同時に出た、俺はその時鍵を閉めた。だけど、誰かがその時に二日酔いを訴えて一度事務所の鍵を開けて、もう一度中に戻り、冷蔵庫にあったそのドリンク剤を飲んで、空き瓶をそこに捨てた。それはつまり…」 ???「…つまり?」 ???「電気を点けたままで、鍵もせずに出たのは、二日酔いで意識が朦朧としていた弥田さんだけですよ。」 弥田「なっ…何だって!?」 ???「もう勘弁してくれよ。ここには大事な個人情報が書いた書類が一杯あるんだから。」 弥田「…それは…悪かったな。」 ガチャ… 二人は扉を開けて中に入る。 ???「誰かが入った様子はないな。」 弥田「おう。よかったじゃねぇか!!」 ???「どの口が言ってんだよ…」 相良「…」 やらかした… 俺は、咄嗟に状況反射的に、奥にあった机の下に隠れてしまった。 なぜこんな事をしたのか? それは多分、勝ってに入って色々物色してしまった事に悪気があったからだ。 しかし…面倒な事をしてしまった。 頃合いを見て、見つからずに抜け出そう。 それに、もう一つ気になる事がある。 多分、ここに入って来たのは二人だ。 この二人は何故俺の事を調べている? 耳を澄ませて、会話を盗み聞いた。 弥田「それにしても、どこに行ったんだろうな?相良剣一君はよぉ。」 ???「横浜に帰ったと思うけど、もう自宅もなくて、帰る場所はないからな。誰かが保護したか、町をウロウロしているかのどちらかだのだと思うが。」 弥田「交友関係を確認して、当時の同級生とかに来てないかと聞いてみても、いい情報はなかったしな。」 ???「あぁ…唯一の情報が横浜の半グレ集団、三国同盟が一夜にして壊滅。それに剣一君が関与していたという噂だけか。」 弥田「それが本当なら、大したもんだな。相良剣一ってのは。流石は30人ごろ…」 ???「弥田さん…」 弥田「…悪い。」 ???「あれは、本人がやろうと思ってやった事じゃない…」 弥田「そうだな…なぁでもよター坊。お前が弁護したってのはわかるが、何で今更この事件を引っ張り出したんだ?別に本人から依頼された訳じゃないだろ?」 弁護? という事は…もしかして… やっぱり弁護士の叢雲さん…なのか?
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加