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叢雲「…依頼を受けてたんだよ。」
弥田「依頼って、なんの?」
叢雲「6年前、彼が少年院に入った後、俺は何度か面会に行っていたんだ。その時に彼から、ご両親が今どうしているか調べて欲しいって頼まれてた。」
間違いない。
この人は、俺を弁護してくれた弁護士の叢雲さんだ。
でも、どうして探偵に?
って、知っているなら、人尚更隠れる必要がない。
完全に判断をミスった。
弥田「少年院に入ってから、両親が一度も顔を出してないのか?」
叢雲「そう。そして、彼の元には何もその情報は来てなかった。だから、俺はそのご両親に会おうとしたんだ。だけど…すぐ後に…」
弥田「6年前って言やぁ…ター坊が弁護士を辞めるキッカケになった、あの事件か…」
叢雲「あぁ。世に殺人者を放ったインチキ弁護士になった時だ。それからのゴタゴタで、俺は結局、剣一君の依頼を引き継ぎもせずに弁護士を辞めた。」
弥田「なるほどな。で、何でそれが今更?」
叢雲「彼が出てくるって情報が入ってね。俺は彼に依頼を放置してしまったことを謝らなければならない。そして、しっかり調べて報告をしないといけない。これは、俺がやり残した仕事なんだ。」
弥田「そうかぁ…でも、調べれば調べる程、面倒な事になってるな…」
叢雲「あぁ…そうだな。これはもう普通の失踪じゃない。きっと何かデカい裏がある筈だ。」
弥田「ター坊が可能性と言わずに、断定するのって事は、間違いないって事だな。」
叢雲「あぁ。今はとにかく彼に接触する事だ。」
ここにいますけど…
弥田「まさか歌舞伎町にいるって事はないよな?」
叢雲「それはないでしょ。全然関係ないし。」
いや、いるんですけど…
叢雲「今は津雲からの連絡を待とう。きっと防犯カメラの情報を読み取って、どこにいるかわかるはずだ。」
弥田「だな。」
Prrrrr
叢雲「おっ噂をすればなんとやら。」
弥田「津雲か?」
叢雲「あぁ、スピーカーにする。」
津雲「いやぁ叢雲氏!!お待たせし申し訳ないでござる!!」
叢雲「いや、大丈夫だよ。それより、彼はどこにいるかわかったのか?」
津雲「それが、結構いろんなところに行っているみたいで、防犯カメラのデータハッキングを切り替えながらしないといけないし、そのデータを取るのに時間がかかってしまってござる!!今から再生し追跡を開始致すので、それがしの実況をしかと耳にして頂きたい!!」
叢雲「色々な所に行ってる?」
津雲「そうでござる。最初は、やはり横浜桜木町でござるな。飲食店で食事し、その後男性と女性に合流。これは三ツ谷に行ってるでござるな。」
弥田「三ツ谷?」
叢雲「彼の実家がある場所だ。ただ何故だ?自宅は6年前に取り壊された筈じゃないのか?まさか知らなかったのか?」
津雲「それはハッキリとわからないでござるが、自宅の土地の前では驚いている様子ですな。これは知らなかったのでは?」
叢雲「…そうか。それで?」
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