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東京 新宿区 歌舞伎町
日本最大の繁華街と称される夜の町。
煌びやかなネオン看板が町の至るところで輝き、多くの欲望にまみれた大人達の遊び場だ。
今の時刻は午後18時
相良「なんでだ…なんでこんなに…時間がかかった…」
歌舞伎町と書かれた赤いネオンが光る鳥居のような門の下で、一人でうなだれている。
やっと到着したという達成感より、やっと着いたという疲労感の方が圧倒的に優っている。
訳を…言い訳をさせてくれ。
スマホさえ…スマホさえ持っていれば…
ーー
尾賀さんと別れた夜、俺はホテルを探していたが、空いているのは男女の営みをするラブホテルぐらいだった。
そこに一人で入る事に抵抗があった俺は、町中を探し回って、24時間営業のインターネットコミックカフェを見つける事ができた。
ただ、そこに入店したのは午前3時頃だ。
尾賀と別れたのは夜中0時、つまり3時間後だ。
入店したのはいいが、空いていた部屋は横になれるフラット席ではなく、カウンターのPCブースのみ。
もう歩く事に嫌気が差していたので、こんな場所での寝れたらいいと思い入店した。
まぁ…寝れる訳ない。
だってただの机だぞ?
それでもなんとか目を閉じたが、30分毎に目が覚める。
しっかりと睡眠が取れないまま、もういいと思って始発の電車で東京歌舞伎町を目指した。
だが、心地よく揺られる電車、柔らかい椅子。
この二つの魔のコンビネーションと、睡眠不足により俺は爆睡。
目が覚めたら、どこだが分からない田んぼが広がるド田舎だった。
急いで体を起こし、電車を降りた。
人がいない無人駅の地図で、ここが千葉県のなんとか町というのがわかり、かなりぶっ飛ばして乗り過ごした事も発覚。
さらに、その駅には鈍行の各駅停車の電車しか来ない。
しかも、次の電車は1時間後…
仕方がないので、電車を待つことにした。
この間も眠気が襲ってきて、危うく電車をスルーしそうになったが、親切なおばちゃんに起こしてもらいギリギリで電車に乗る。
さすが鈍行だ。東京駅に着くまでかなり時間がかかった。
え?途中で特急に乗り換えたらいい?
スマホも無くて、路線や電車の時間も確認できない俺に、そんな高度なテクニックは不可能だ。
時間はかかるが、この電車は東京駅には向かっている。
無難に電車に乗り続けて、やっと東京駅に到着。
案内掲示板を頼りに、新宿駅へと向かう電車に乗って、今度は寝過ごす事なく、目的の駅で降りる。
が
ここからが地獄だった。
歌舞伎町がどこかわからない。
俺は、東京に来たことは無い。
土地感も持ち合わせていない。
ひたすら歩き続け、途中で道を尋ねたら、そこ曲がってドンって行ってそこをギュンて曲がって、後はひたすら真っ直ぐ行けばいいという擬音だらけのオヤジから道を教えてもらい、俺は何の疑問を持たずにいう通りにしてたら、109と書かれたテレビでよくみるビルの前に到着した。
ここが歌舞伎町かとおもったが、町の人の会話を耳にした時に絶望する。
渋谷…だと?
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