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東誠警備はどこですか?
これなら誰でも解りやすいだろう。
横浜の夜、両親の情報を聞き出す為に始めた不良刈り、その時に尾賀さんから学んだ事は、相手が答えやすい質問を投げかける。
そうだな、話かけやすそうな人は誰かいないだろうか?
周辺を見回すと、街灯の下で談笑をする二人組の女性に目がついた。
楽しそうに話ている様子から、他と比べると若干話かけ易いと思えた。
相良「あの、すいません。」
謙虚に声をかける。
「えっ?何?」
「お兄さんスカウト?私達そんなものに興味ないんだけど。」
想像以上に拒絶され正直へこんだ。
どうやら、何か怪しい人物と勘違いされたようだ。
だが、ここで撤退すればもっと怪しまれてしまう。
相良「あ、いや。そういう訳じゃないんですけど。少し聞きたい事があって…」
「何?忙しいから早くしてくんない?」
女性の口調から発せられる圧が辛い。
相良「えっと…」
「何しとんじゃ!!このガキぁああああ!!」
突然、男の怒鳴り声が聞こえてくる。
相良「なんだ?」
声がした方向を振り向くと、眉間にシワを寄せて、いかにも柄の悪そうなおっさんが大股を開いてズカズカとこちらへ近づいてくる。
「おどれ、人の女に何ナンパしてくれとんじゃゴラァアア!!」
相良「ナンパ?いや、そんなんじゃないんですけど。」
「あぁああ!?何言い逃れしてんだガキ!!」
相良「だから、違いますって。すいません、それじゃ俺はこれで…」
どうやら、面倒臭い人に声をかけてしまったみたいだ。
おっさんは、今にも殴りかかりそうな勢いで凄んでくる。
「待てやコラ!!!」
突然、男は右の拳で俺の顔面目がけて殴りかかってくる。
それは簡単に見切れたので、寸前のところで回避する。
相良「だから誤解ですって。俺はナンパなんかしようとしたんじゃなくて、ただ…」
「調子に乗ってんじゃねぇ!!」
再びパンチが繰り出されるが、それは空を切り、俺に当たる事はない。
その後も胸ぐらを掴もうとしたり、蹴りを入れてきたりしたが、全て回避する。
話かけた女性が男へ「やめなよ。」というが、その声ですら男へは届いていない。
こちらの話を一向に聞く耳を持たず、完全に頭に血が昇っている。
東京の人は、皆んなこんなに血の気が多いのか?
「はぁはぁ、てめぇ!!いいかげんせいや!!」
自分の攻撃が一発も当たらずイラついているのか、息は上がっているが落ち着きは戻っていない。
…仕方がない。
少し、大人しくなってもらおう。
「このガキャアアアア!!」
男の拳が下方向から迫りくる。
それを肘でガード、勢いを相殺、
一瞬
男の顎へ一発のアッパーを繰り出す。
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