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「うぉおお!!」
男は思った以上に吹き飛ぶ。
相良「あ!!すいません大丈夫ですか?そんなに強くしたつもりは無かったんですけど…」
男に駆け寄り声をかける。
すると、今までこの状況を見ていた女性から
「ちょっとかっこいいんだけど…」
「よく見たらイケメンじゃない?」
と、黄色い声援が聞こえた様な気がしたが、仕方がないとはいえ、男に手を出してしまった方が深刻だ。
怪我はないだろうか?
更に面倒な事にならないだろうか?
そんな心配が頭をよぎる。
「えぇ…パンチや…」
相良「は?」
「酒に酔ってたとは言え、わしのパンチを全部避ける反射神経…見事なカウンター…アッパーカット…」
相良「…」
「にいちゃん!!気に入った!!」
相良「えっ…と?」
男は急に立ち上がり、先程とは正に打って変わって満面の笑みを浮かべている。
俺はその状況が飲み込めず、戸惑ってしまう。
「にいちゃん!!ボクシングやらへんか!!にいちゃんなら日本…いや世界チャンピョンも夢やない!!」
相良「ボクシング?」
「せや!!ボクシングや!!にいちゃんには才能がある!!自分で言うのもアレやけど、わしの顔を見ても怖気付かんだけの度胸もある!!どや!!やらへんか!!」
相良「いや…その…今は興味はないです。」
「そうか!!ならしゃあないの!!ガァハハハハ!!」
人の話を聞いてるのだろうか?断ったのに嬉しそう笑っている。
意味がわからない。
「それににいちゃん、なんか用があったん違うか?」
相良「あぁ…えぇ…その聞きたい事があって。」
「なんや!!なんでも聞いてくれや!!」
ようやく、本来の話に戻れそうだ。
相良「東誠警備ってご存知ですか?そこに行きたいんですけど、場所を教えてくれたら助かります。」
「知らん!!」
相良「あぁ、そうですか…」
「場所は知らんが、なんやにいちゃん、あのヤクザ警備会社になんの用事や?」
相良「ちょっと、人探しで、あの、ヤクザ警備会社ってなんですか?」
「だってあの会社は元はヤクザの連中が作った会社やろ?まぁわしもそれ以外は知らん。わしは名古屋の人間やからな。」
相良「そうですか…」
すると女性が
「東誠警備なら、プレミアムタワーにいると思うよ。」
相良「プレミアムタワー?そこに会社があるんですか?」
「プレミアムタワーは、そこにあるでかいビルよ。会社があるかは、ちょっと解らないな。」
女性が指を刺す方向には、とても巨大なビルがあった。確かにこれはビルというよりは、塔と言った方がそれらしい。
「確か、そこの警備やってた思うよ。」
「前を通ると、警備員が立っているのをいつも見るからね。」
相良「そうですか。ありがとうございます。」
俺は女性と男に軽く会釈をして、その場を離れようよした時。
「ちょっと待ってくれにいちゃん」
男に呼び止められる。
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