#1 東京 歌舞伎町

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相良「はい…わかりました。すいません。」 これ以上の話は聞けないと思い、プレミア厶タワー前の広場を後にして、街の中を行く宛もなくフラフラと徘徊する。 それにしても、俺の警護を依頼されていないとは、いったいどういう事だ? やはり、聡美さんが言っていたように、警護と見せかけて、実は自分達の組員を殺した俺への復讐が目的なのか? だが、それをどうやって確かめる? プレミアムタワー前の警備員に聞いても解らないのなら、仮に本社を見つけて聞いても意味がない。 あなたの依頼は受けていません。 そう言われて終わってしまう。 それじゃ、いっそ警察に相談してみるか? … いや、それもだめだ。 近所のおばちゃんも言ってたが、警察では行方不明という扱いになっている。 行方不明の人が行方不明なので、探して欲しい。 意味が解らない。 … これ、もしかして詰んでないか? 次は何をすればいいんだ? どうすればいい? … 結局、俺にできる事なんて、こんなもんか… 両親を殺したのは東誠会という情報を聞き出せたのも、俺ではなく尾賀さんが聞いてくれたからだ。 それが一人で歌舞伎町まで来て、俺では何の成果も新しい手ががかりも、何も得ていない。 ふと、夜空を見上げた。 都会の明かりに照らされた雲が、ゆっくりと流れている。 虚しい 俺は何がしたいんだ? … 冷静に考えてみれば、今の俺は帰る家もない、という事は住む場所もない。 これからどうすればいい? その現実を直視したくないから、こうやってがむしゃらに動いていただけじゃないのか? ただの現実逃避。 21のガキにできるのは、この程度か… あぁ… 疲れた。 「お兄さん。お疲れのようですね?」 相良「…え?」 気がついたら、ピンク通りという看板がある路地に来ていた。 突然話かけて来たのは、スーツ姿で、メガネをかけた50代前後のおじさん。 「よかったらマッサージいかがですか?可愛い女の子がサービスしてくれますよ。」 おじさんは店の看板を指差す。 そこには、ラブマッサージというまぁいかにも怪しい店の看板がピンク色に光っていた。 相良「いえ…すいません、今は遠慮しておきます…」 「そうですか、でも珍しいですね。ここはピンサロやホテヘルとかの風俗店ぐらいしかないので、お兄さんもそういうお店を探していたんじゃないの?」 そうだったのか…おじさんの言う通り周りを見渡すと、確かにイヤらしい看板だらけだ。 フラフラと適当に歩いていたら、こんな場所に来てしまっていたのか。 早く離れた方がいいが…ダメ元だ。 このおじさんにも話を聞いてみよう。 相良「その…」 なんて聞けばいい? もうなんでもいいから、東誠会って知ってるか聞いてみよう。 相良「東誠会って知ってますか?」 「東誠会?この歌舞伎町にいる人間は皆知ってると思うよ。でも、どうして?」 相良「実は…俺の両親が、その東誠会に殺されたかも…しれなくて。」
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