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寝るときは布団を用意してくれた。早紀と並んで眠る。手足が縛られているから中々眠れなかったが夜中は起きなかった。
特にこれといった問題もなく月曜日になった。トイレに行きたかったのでスイッチを押すと理津が来た。早苗は疑問に思っていたことを訊いてみる。
「どうしてミーナを連れ出すことができたのですか? 庭にいたっていっても門や塀のセキュリティは厳重なのに」
「植木職人ですよ。早苗の家も先の家も植木職人を雇っているでしょう」
「あ」
それは気づかなかった。おじさんの仲間は少なくて三人いるということだ。
じりじりとしていると十一時半になった。おじさんが大きな袋を二つ持って入って来た。理津が目を輝かせる。おじさんは札束の帯を切りながら上に一万円札を撒いた。「やったー、やったぞ」みるみる部屋中に一万円札が降り積もる。
「おじさんたちはこれで海外へ行く。なに心配するな。向こうで事業に成功したらお金は倍にして返すよ。だからここで起こったことは誰にも言わないでくれ」
早苗も早紀も約束を守った。早苗が二十歳になったとき、銀行に二億の振り込みがあった。
了
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