パスタ専門店と裏メニュー

　僕は目を見開いて驚いた。

「ここって、パスタ専門店ですよね？」

　店員が元気よく答えた。

「はい。その通りです！」

「なんで、あなたはそんなに元気なのですか？」

「元気なのが私の取り柄なので！」

　僕はパスタ専門店なのにパスタがなければ、ここに来た意味がないのではないかと首を傾げた。

「一応、聞きますが、作れる料理はないのですよね？　パスタ専門店で肝心のパスタがないのだから」

「あります！」

　僕は驚いて目を丸くした。

「あるの？」

「裏メニューがあります。文字通り、メニューの裏に書かれてあります」

　店員がメニューをひっくり返すと小さな文字で書かれてあった。

『トースト　時価』

　ここまでくると、トーストも時価も謎の呪文のように思えた。

「トーストはできるのですか？」