キリ番

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キリ番

「おめでとうございます」 そんな言葉と共に、店内をファンファーレが流れた。 まだ店内に入ったばかりだと言うのに、一体何が起こったというのか? 状況が飲み込めないでいると、店員の一人が言った。 「あなたは本日の来場者、1500人目になりましたので、ステキなプレゼントを企画していますので、お帰りになる際には、声をかけてくださいね」 従業員はスマイル100%だ。 ーー1500人目で、プレゼントか。何がもらえるんだろ? 急にワクワクした感じになってきた。 来客は、クラッカーで私の事をもてはやした。 店員たちからは、立派な赤い薔薇の花束をもらい、嬉しさがこみ上げてくる。 「おめでとうございます」 「あ、ありがとうございます」 見ず知らずの人でさえ、そんな風に声をかけてくる始末だ。 相当、イイモノがもらえるのかも知れない。 私は大きな希望に胸を膨らませた。 ご飯を食べ、店を出る前に店員に声をかける。 「帰る時には声をかけて!と言われたので、声をかけました。帰ります!」 「あ、少しお待ちください」
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