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僕も神父様には敵わないよ
ポールはメェメェ鳴くと、神父様にすりすりしました。
「おっ、なんだか急に君が可愛く見えてきたよ。もとから可愛いけど。」
神父様はポールのもこもこな毛をなでながら、満足そうに笑って夜空を見上げました。
「でもなぁ、私も悲しんだり、困ったりすることはあるんだよ。そんなときは、君たちをなでて元気をもらってる。夜空を見上げて、星たちに励ましてもらうんだ。」
ポールはびっくりしました。
神父様でも困ることってあるんだな。僕たちから元気をもらってたとは…。
そう思うと同時に、なんだか神父様の役に立っていることが嬉しくなりました。
その日から、ポールはいたずらをパッタリとやめました。特にはっきりどう思ったから、ということではありませんが、単にいたずらして困らせるより、困ってる人を元気づける方がいいと思ったからです。
ポールの最近の毎日の楽しみは、神父様がやってくることです。
もう足音で分かるようになりました。
ほら、今日も神父様の足音が聞こえてきます。
ポールは誰よりも早く、駆けていきました。
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