2. 出会い

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 それから数時間経ち、いつもの日常をこなしていると、次第に録画したその出来事は幻想だったのではないかと疑い始めました。  だって、おかしいじゃないですか。僕みたいな透明人間があんな高貴な御方に見つけて頂けるなんて。変じゃないですか。  だからあれはきっと僕が創り出した妄想で、あの時僕はいつものように麗華さんを、彼女を追っていたのだと思います。後ろからその姿を目に留めながら、僕はそんな妄想をしていたんだと思います。  やっぱり僕はおかしな人間です。妄想を現実だと思い込むなんて。僕の頭の中は段々と狂い始めているようです。  そう、本気で思いました。  本当にそう落ち込んだのですが、次に大学に行った時、僕は混乱することとなりました。  何とあの「清川麗華」さんが、一人で席についていた僕の隣にやって来たのです。  「太郎君!おはよー!やっぱり同じ学科だった!」  彼女はそう笑いながら僕の隣に座りました。その講義は僕の所属する学科の学生しか受講しないので、彼女はそう考えたんだと思います。  「あれから何買おうとしてたか思い出した?」
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