2. 出会い

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 それを聞いて、更に頭の中がぐちゃぐちゃになりました。だってあれは全部妄想だったんです。妄想だったのに、どうしてそれを彼女が知っているんでしょうか?  固まって彼女を見ている僕に、彼女はあのくしゃっとした笑顔を見せました。  「え?もしかして忘れた?私の事。」  そして僕は我に返りました。  「いやいやいやいや!!!知ってます!!清い川の麗華さんです!!!」  もし一つだけ願いが叶うなら、僕はきっと、「興奮でつい大声を出す癖を治して下さい」とお願いするでしょう。あ。次の七夕、それを書こ。  声を大きくした僕のせいできっと嫌な思いをしたかもしれないのですが、顔をしかめるかわりに彼女は、僕に負けないくらい大きな声で笑いました。  「清い川のって。私、川の精じゃないから!」  確かに僕の言い方は少し間違っていました。どちらかと言えば、彼女は川の精と言うより海の女神です。
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