1. 僕はストーカー

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 僕にはずっと好きな女の人がいます。  彼女の名前は「きよかわ れいか」と言います。「清い」の「清」に、自然の「川」、「綺麗」の「麗」に、「華美」の「華」。名前負けという言葉は彼女には当てはまらない。恋愛漫画のモテモテ委員長みたく彼女もまた、美しいのです。いやほんと、漫画から飛び出してきたみたいな、ほんとにここ現実か?って思うみたいな....  あっ、すみません。取り乱しました。  とにかく彼女は誰からも好かれる、大人しく華麗な大学生なのです。  きっと皆さんの頭の中は今、彼女の美しさでキラキラしていることと思います。  そんな中、ゴミをぶちまける形になってしまって申し訳ないのですが、僕の話をさせて下さい。  いや誰がオマエなんかきょーみあるかよって、怖い顔で僕を睨まないで下さい。ほんのちょっとだけでいいんです。お付き合い頂けたら幸いです。  情報が重なって本当に申し訳ないのですが、僕の名前は山田太郎です。  ぱっとしない、よくある名前って思われがちですが、多分本当は珍しいです。僕も、同じ名前の方に出会ったことないです。  それは別にいいんですが、きっと他の「山田太郎」さんはもっとかっこいいです。対する僕は、絵に描いたような凡人です。猫背だし、ふぁっしよん?にも興味ないし、眼鏡かけてるし、天然パーマはぼさぼさだし、背も167センチだし...  あ、決して他の猫背の方とか眼鏡の人とか、僕より低い人とか馬鹿にしてる訳じゃないです。誤解を招いたらすみません。眼鏡の人でかっこいい人はいっぱいいるし、何より真っ当に生きていくために視界をクリアにしようと道具にお金をかける行為はとても素晴らしいです。身長は、誰かが勝手に「高身長はかっこいい」って決めつけただけで、身長が低くてもかっこいい人は沢山います。  ただ僕自身の話をすれば、僕は全然かっこよくなくて、いっそ透明人間になれるんじゃないかって思うくらい存在感がないので、こんな僕を良くない意味で「凡人」と呼びました。凡人が悪いという意味では全然ないんです。
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