2. 出会い

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 悪いことはすぐに見つかってしまうって、そう言えば母に教わっていました。  それに気づいた時はもう遅いんです。  そうです。僕はついに見つかってしまったんです。  正確にはストーキングが見つかったというより麗華さんに僕を見つけられたのです。丁度麗華さんが書店で僕を見つけてくれた時のように。  それがまた書店であったならどれほどの救いだったでしょうか。  僕が見つかってしまった場所。それは麗華さんのアパートの傍でした。  その日僕はいつものように麗華さんの後を追っていました。そしていつの間にかそのアパートの前に来、僕はベタに電柱の傍に隠れました。  あれって実は、隠れるの結構難しいですよね?だってあんな太さのものに身を隠せるのはきっと棒人間くらいです。  僕電柱と平行になるようにそこに立ち、何とか隠れるようにして顔だけを覗かせました。そうすることに夢中だったのか、僕はまた同じ過ちを繰り返してしまいました。  僕が顔を覗かせると、麗華さんの姿がなかったのです。  家に入る音も聞こえなかったので、まだ外にいると思うのですが、どうもその姿を捕らえることが出来ません。  ただ僕の耳にその音が入らなかっただけだろうか?  そう思った時でした。
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