2. 出会い

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   「...折角ここまで来たんだし、うちすぐそこなの。よかったら寄ってく?」  麗華さんはそう言いました。  どこまで気を遣ってくれるんだ、この人は...  そんな感動を覚えたのもつかの間でした。  麗華さんの家にお邪魔する。僕一人が。  この国ではそれがあまりよくない誤解を与えてしまうことを、僕は知っていました。もちろん僕にそんな気は一切ないのですが、それでもやはり抵抗を感じるものがあります。  何より、女の人の部屋に呼んで頂けることも、ましてや誰かの部屋に呼んでもらうことも今までになかったものですから、僕は喜びに勝る狼狽を感じていました。  何と答えていいのか分からずアワアワしている僕に、麗華さんは言いました。  「嫌?」  僕を見上げるような上目に、不安を帯びたすぼんだ口。  やっぱり彼女は「モテモテ委員長」です。天使です。  そんな顔をされて嫌と言えるはずもありません。僕はブンブンと頭を横に振りました。そんな僕を見て、麗華さんは不安げな表情を喜びに変え、にっこりと笑いました。
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