2. 出会い

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 促されるまま麗華さんについて行く僕。  緊張と同時に、実は不安も感じていました。  もしかして、ストーカーだったことがばれてしまい、外では体裁がたたないからと、家の中で僕を問い詰めようとしているのだろうか?  そんな疑問があったからです。  麗華さんにはちあった時の言い訳も怪しいものでした。  なのに、麗華さんはいつもと変らない様子で僕と話します。  それに僕はずっと引っかかっていました。  麗華さんの後に続いて表の階段を上ります。  鉄が四足分の音を響かせます。  その音と麗華さんの話し声が混じり、麗華さんの話すことが聞き取りづらくなります。  それを聞き零すまいと必死に耳を立てます。  するといつの間にかその部屋の前まで辿り着き、麗華さんは尚も話ながら部屋の鍵をバッグから取り出しました。  可愛いピンク色のウサギがぶら下がった、よくある色の鍵です。  それを鍵穴に刺し込み、麗華さんは手首をひねりました。  その直ぐ後に、ガチャッという解錠音が鳴ります。  そして麗華さんは鍵を抜き、ドアノブに手をかけそれを回しました。  僕は初めて、麗華さんの部屋を見ることになるのです。
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