1. 僕はストーカー

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 そんな「凡人」である僕は、彼女いない歴イコール年齢です。そもそも人に気づかれないのだから、全く不思議なことではないです。  鳥の巣みたいな頭に、一度でも本当に鳥が住みついてくれないかとも思いました。そうすればきっと、みんなは可愛い鳥に目が行きます。もしかしたら鳥に目を奪われすぎて、みんなは僕が見えないかも知れないけど、それでもいいからとある日鳥のごはんを頭に乗せてみたことがあります。  でも鳥にすら僕が見えていないようで、その日はただ、頭に木の実を飾る独創的なおしゃれに突然挑戦した子どもになってしまいました。  木の実の存在も忘れてその夜頭を洗い、突然落ちてきたそれらが虫だとびっくりし、お風呂場で一人叫び声をあげたのを今でも覚えています。  正直一目惚れというものをしたことのなかった僕ですが、大学に入って目に留まった彼女が僕の初恋でした。僕自身アニメや漫画がそれなりに好きなのですが、本当に彼女はそれらに登場しそうな、目立って綺麗な女性でした。  肌は透き通るように美しい白で、目は誰もが憧れる程パッチリしていて、端正な顔立ちの女の人です。華奢な彼女が靡かせるセミロングの黒い髪からはいつも良い匂いが風に乗って僕の鼻をくすぐります。いつも優しく笑う彼女は太陽がない所でも明るく見えます。これが女神かと思う程、彼女は美しいです。  そんな彼女は本が好きです。大学が終わると毎回図書館に脚を運びます。そして、僕が絶対に手を付けないような難しい本のページを、その細くしなやかな指でめくります。その姿はまさに「モテる生徒会長」。いやそれ何回言うんだよって思うかも知れませんが、知識が乏しい僕にはそれくらいしか例えが思いつかないのです。  何かオマエ、ストーカーみたいwって思いました?  やはり皆さんはとても勘が鋭いです。  そうです、僕は「清川麗華」という同じ年の女性のストーカーです。
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