2. 出会い

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 突然の行動に混乱が収まらない僕の次の言葉を聞く前に、麗華さんは立ち上がりました。スタスタとこの部屋を出て行ったと思うと、廊下に設置されているキッチンに立ちました。何かがさごそと探している様子の麗華さんを呆然と見ていると動きを止めた麗華さんが手にしたのは、包丁だったのです。  「麗華、さん?」  行動がまるで意味不明に感じた僕がようやくその名を呼ぶと、麗華さんは包丁の刃を天井に向けたまま、再びこの部屋に戻ってきました。  「...どうかしました?」  ただ黙って僕を見ている麗華さんに何も言わずにいられなくなった僕は言いました。その異様な光景に、僕の体の震えは一層激しくなっていました。  「殺さないから。」  すると麗華さんは再びそう口にし、僕の方に寄ってきました。    え、これ、やばいんじゃあ...  
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