1. 僕はストーカー

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 初めは単に、目前を優雅に横切る彼女を目で追う程度でした。  するといつの間にか、僕はその後を追うようになっていました。  図書館に入る彼女。本を読む彼女。勉強をする彼女。  ついには学校の外でも彼女を追い始めました。  本屋さんに入る彼女。コンビニに入る彼女。甘いイチゴミルクを買う彼女。  そして僕は最終的に、彼女の家を知ることとなりました。  いや、わざとじゃないんです。目を奪われて後を追っていると、そりゃあ最後に行き着くのは家じゃないですか?  まあ、これは僕の悪い言い訳なんですけれど、とにかく僕は彼女が住むアパートと部屋番号を知ってしまいました。彼女のお友だちなら当たり前のことかも知れません。でも、話したこともなければ全く違う地区に住む僕がそれを知ってしまうことがどういうことか、僕は知っていました。  だから僕もそこで我に返ったんです。僕がしていることは法に触れるかも知れないと、そう思うと冷たい汗が背を伝いました。何よりこんなことをしている僕を彼女が知ったら、どれだけ彼女が嫌な思いをするか。そこで僕は気がついたんです。
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