2. 出会い

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2. 出会い

 その出会いは突然訪れました。  それはある冬のことでした。この辺りはよく雪も降るので、必然的に道には雪溜まりが出来てしまいます。僕自身雪国の出じゃないので、大学に通うために一人暮らしをしているこの場所では本当に苦労しています。もう何度転んだことか。まあ、透明人間だから転んだ僕に誰も気づかないのだけれど。  そんなことはどうでもよくて、彼女と初めて言葉を交わしたのはそんな雪降るお昼時でした。  いつものように彼女の後を追って、大学から少し離れた書店に脚を踏み入れた時でした。  彼女が入店した少し後、僕もその店に入りました。ですがいつもより時間を空けすぎたのか、小さな書店にも関わらず僕は彼女を見失ってしまいました。出入り口は一つなので、彼女が店から出たという可能性はほぼゼロに近いです。なので僕は本を探す振りをして、彼女の姿を探しました。  その時でした。
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