2. 出会い

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 「君、大学で見たことある。」  突然そんな可愛らしい高さの声が後ろから聞こえてきました。何せストーカーをしている最中だったので、そういって声をかけられたことに僕は死ぬほど驚いて、思わず声を上げて振り返りました。  「ここ、お店の中。」  僕の上げた大きな声を注意するようにそう小さな声で言ったのは、まさしく僕がストーキングしていた「清川麗華」さんでした。幸い周りには誰もいなかったのですが、ストーカー行為がバレたのではないかと思った僕の心臓はバクバクと激しく動いていました。  何も言葉を出すことが出来ずにただ汗を大量に流しながら固まる僕を見て、彼女はくしゃっと笑いました。  「びっくりさせてごめんね。」  その言葉で我に返った僕は、彼女に謝らせてしまったことに罪悪感が彷彿とし、慌てて彼女に謝りました。  「ぼ、僕がごめんなさい、大きい声出して...」  眩しすぎる彼女を直接見ることの出来ない僕に、彼女はいいよとまた笑いました。  やっぱり「清川麗華」さんは僕の想像通りの御方だ。  その時僕はそう感じました。
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