それは如月、逢魔時

2/18
前へ
/18ページ
次へ
 私の隣に座ってるしおんくんは、ちょっと困ったように微笑む。 「俺が買って来といたんだけどねぇ。今からでもいいけど、もうあるわけだし」 「何かすいません……」  っていうのも、明後日が私の誕生日だから。当日が月曜日に当たるから、呑むなら週末がいいだろ、って雄貴さんが誘って下さったわけで、私には断る理由はない。  しかし、この大ブーイング。うーん、どうしよう。私は別にこれでいいんだけど。 「ごめんね、結さんを怒ってるわけじゃないんだよぉ?」 「わかってるから大丈夫」 「雄貴さん、もうちょっと気が利くと思ってたのになぁ」  しおんくんはため息をついてステージを振り返る。 「大体、何で真っ直ぐにここ来て座るよ」 「いつもここじゃないですか」 「じゃねぇだろって。あっちのテーブルとか空いてんだぞ」 「カウンターの方が、和馬さんたちもいますし」 「だーかーらーな」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加