それは如月、逢魔時

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「あら、ここ雄貴の席ね」  かおるさんはそう言いながら、くすくす笑って私の隣に座った。 「雄貴なんか立たせときゃいいのよ」  うーん、流石お強い。最早メンバーを凌駕するファン。 「ほら、マオ座んなさい。和馬、ボトル」  立ち居振る舞いは女王様のようだけど、威圧感はなくて、カッコいいお姉様だ。憧れるなぁ、こういう50代。マオくんはまだ20代だっけ。見る目があるよね。 「はいよ」  和馬さんがI.W.ハーパーのボトルと水割りセットを並べると、マオくんがスマートに二人分の水割りを作り始める。手慣れた感じだな。 「かおる、結ちゃん明後日誕生日だぞ」 「そうなの! いくつになるの?」 「49です。もうそんな」 「何言ってんのよ。あたしより7つも若いじゃない」  改めてそう聞くと、かおるさんの56歳は驚異的。ほんとに綺麗なんだから。 「ねえ? マオ」 「そっすね。結さん、全然可愛らしいですし、肌きれいっすよね」 「ありがとう。でも、大したお手入れもしてないし」 「そうすか? それならそれでいいことっすよね。やっぱ毎日充実してるんすかね」 「どうかな、仕事ばっかりで」
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