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再会
『麻生さん、おはようございます!入りますよー!』
看護師が朝の血圧やら、体温やらを計りに訪れ
る。正直に言えばあまり好きではない。その一
連のやり取りが、「作業」のように感じられて
しまう時がある。もちろん毎回ではないのだ
が、『今朝は忙しいので、時間ありません!』
なんてピシャッと言われたら、そりゃもう朝
から寂しさでいっぱいになる。「はぁ〜…」と深いため息をついた。
「ガラガラ」病室の戸が開く。…一瞬、静
寂を感じた気がした。
立っていたのは、今までの担当者とは違ってチ
ャキチャキとした感じを微塵も感じさせない、
背丈がスラっと高くて
柔和な雰囲気の女性看護師だった。
いやぁ、しかし驚いた。背の高さから細身の体
型、クリクリとした丸い目元まで、先立たれた
妻にそっくりだった。「よ…。」あぁ危ない危
ない、危うく妻の名前を言いそうになってしま
った。少し言いかけていたかな。
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