1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
カルピス
「まぁ結局、依音の初恋相手を聞き出すことはできなかったんだよね」
「そうか、依音が恋をしたか……」
旦那は依音がお風呂に入った直後に帰ってきた。
入っている間に依音の話をしたけど、なんか放心状態。
娘に恋人とか、パパはまだ信じられないのかも。
「誰なんだろうな」
「ね。どんな子だろう」
「チョコ、作るのか」
「友チョコって言ってたけど」
「ふーん」なんて言いながら、不服そうに晩御飯を食べている。
「あ、パパおかえり」
ボソボソと猫背でご飯を食べるパパに、お風呂上がりの無邪気な依音が声をかける。
「おおう……ただいま」
パパは至って平然、普通ですって顔をしていて、私は少し笑ってしまう。
「ねぇママ。お菓子作りさ、来週の日曜日で良い?」
「えぇ。何を作りたいかは依音が決めなさいよ」
「うん!」
依音は家にあったお菓子のレシピ本を片っ端から見つけて抱えると、自室にスキップをしながら向かった。
「めっちゃはしゃいでる……」
パパはずっと不安そうな顔をしている。
「いつかは依音も結婚するんだから、それの練習だと思って」
「えぇ?早いよ、無理だよ」
覚悟が足りんな、なんて思いながらも、私もゆっくり進んだら良いんだからねと思う。
最初のコメントを投稿しよう!