4人が本棚に入れています
本棚に追加
「うん。プレゼント」
奏美は嬉しそうに微笑んでいる。
「私はもう買ったんだ。お母さんにはマフラーで、お父さんにはお酒用のグラス…。お兄ちゃんには…内緒」
奏美は悪戯っぽく笑っていた。
そうか、上村家では家族でプレゼント交換をするのか…。
私は立ち止まり、ポケットから財布を出して中身を確認した。
ザ高校生の財布の中身。
「やばいな…」
前を歩く奏美が振り返る。
「あ、お兄ちゃん、もしかしてお金ないの…」
奏美が私の財布を覗き込む。
「お金、貸そうか」
奏美は自分の財布をカバンから出そうとする。
私は慌てて、
「いいよ。何とかするから」
と言って歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!