オーディナリーデイズ6 セレブレイション デイ

2/29
前へ
/29ページ
次へ
「うん。プレゼント」 奏美は嬉しそうに微笑んでいる。 「私はもう買ったんだ。お母さんにはマフラーで、お父さんにはお酒用のグラス…。お兄ちゃんには…内緒」 奏美は悪戯っぽく笑っていた。 そうか、上村家では家族でプレゼント交換をするのか…。 私は立ち止まり、ポケットから財布を出して中身を確認した。 ザ高校生の財布の中身。 「やばいな…」 前を歩く奏美が振り返る。 「あ、お兄ちゃん、もしかしてお金ないの…」 奏美が私の財布を覗き込む。 「お金、貸そうか」 奏美は自分の財布をカバンから出そうとする。 私は慌てて、 「いいよ。何とかするから」 と言って歩き出した。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加