塵に積もる美少女たちの微笑み

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 いつもモデルをしてくれる女の子も徐々に体調を崩してゆき,同じような喘息に似た症状が現れていると度々連絡があったが,自分も同じ症状が出ていることは伝えなかった。  目に見えないほど細かい塵は,毎日作業をする度に部屋に降り積り,そこにいる自分と女の子の具合が日に日に悪くなっていった。  机の上に置いた製作途中のフィギュアに微かに積もったプラスチックの塵をハゲで払い落とし,エアスプレーで細かい部分の塵を吹き飛ばした。  そんなある日,家から出ようとした瞬間,なにもしていないのに突然意識を失い,玄関で倒れた。たまたまその時は数時間して意識を取り戻したが,その時初めて自分の健康状態が深刻だと理解した。 「ガチでヤバイかも……」  生まれて初めて身の危険を感じ,病院に行くか悩んだが,元々病院嫌いで病院なんて行ったら待合室で何時間も待たされて,そこで病気を移されると本気で信じていた。それにいつも具合が悪くてもしばらく休めばまた動けることが多く,今回もそうに違いないと病院に行きたくない自分を誤魔化した。
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