塵に積もる美少女たちの微笑み

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 次の日,モデルの女の子が家に来てポーズの撮影と細部の採寸を行った。これまでは元となるキャラクターがいて,そのキャラクターに独自のポーズを取らせオリジナルのコスチュームを合わせて製作していたが,今回は完全オリジナルの自分の作品となるフィギュアを目指した。  苦しい呼吸を誤魔化しながらモデルの女の子にバレないように作業が終わると,突然女の子が泣き出した。何か不快なことをしてしまったのではないかと焦り,掛ける意味も分からず必死に女の子に謝った。 「違うんです……あの……私,病院に行ったんです。そしたら入院しなくちゃいけないみたいで……もしかしたら長期になるかも知れなくて,そうなったら,もうお手伝いすることができなくて……」  突然のことに驚いたが,心のどこかでは理解していて冷静な自分がいた。おそらく自分も同じような状態なのだろうと思い,原因が自分にあるのではないかと薄々感じていた。 「そ,そう……わかった。健康問題じゃしょうがないよ。い,いままでありがとう。じゃ,じゃあ,これで最後になるなら,最後に頭部の採寸をさせて欲しいんだけど……」  女の子は黙って頷くと,いつも採寸時に使う椅子に座って目を閉じた。メジャーを使い目や鼻,唇とそれぞれの距離や長さを細かく測り,頭の採寸をしてからさまざまな角度から写真を撮り,記録につけた。
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