日常と非日常の境界線

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 嬉しそうにおが屑にまみれて横になり,肩で息をしながら天井を眺めていたかと思うと,突然飛び起きて再び泣き叫びながら上司の写真目掛けて鉈を振り下ろした。  舞い散るおが屑が全身を覆い,肌が木の粉で覆われて行くとそのまますべての丸太を細かくなるまで斬りつけた。  鉈が宙を斬るたびに粉が舞い散り,さっきまで横になっていた足元に降り積もった。  散々鉈を振り回し,丸太をボロボロにすると,ようやく満足して鉈をおが屑のなかに投げて目を閉じた。  その口元はなにかを歌っているかのように呟き,指先が微かにリズムを取っていた。  気持ち良さそうに歌を歌いながら床に溜まったおが屑を蹴り上げると,おが屑の山に飛び込み,降り積もる木の破片を全身に浴びて満面の笑顔を見せた。
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