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「反対派,賛成派,数はそんなに多くはなかったんだよ。村長と役場の連中が賛成派で,山仕事をしてた連中が反対派。残りのみんなは金さえ入ればどっちでもよかった」
「うん……」
「まぁ,話し合いっていっても,酒を飲みながら,飯を喰いながら,お互いの言いたいことを言い合うだけの集まりでね……平和なもんさ」
祖母の横に置かれた急須をテーブルの上に乗せると,すぐ後ろの背の低い棚から缶に入った茶葉を取り出して,微かに震える手で目分量で急須に入れた。
もう何年も前からそこにある足元のポットから二つの湯呑みにお湯を入れ,湯呑みを温めている間に急須にもお湯を入れて一息ついた。
「裕ちゃんも飲むだろ?」
「うん……」
湯呑みを持ってゆっくり腰を上げると,台所へ行ってお湯を捨てて戻ってきた。途中で仏壇に供えられた饅頭を二つ取り,テーブルの上に無造作に置くと急須からお茶を注いだ。
「賛成派と反対派,なんやかんや言っても,どっちも国から金が貰えることは知っててな,理由をつけて集まって酒呑むのが楽しかっただけなんだよ」
「へぇ……」
「ただ,そんな男たちの遊びに付き合わされて,一日中仕事して,家のことして,なんでもかんでもやらされる女たちには不平不満を言うのもいてな……」
「うん……」
「集まりがあるっていうと,喰いもん用意させられて……晩飯の後にな……」
「へぇ……」
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