湖底に降り積もる罪と罰

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 部屋いっぱいに祖母を取り囲む和服姿の男たちは何も言わずに祖母を見下ろしていた。男たちはずっと祀りの時から祖母を取り囲み,その数は日に日に増えていくのを裕一は黙って見ていた。  男たちの中に,遺影でしか見たことのない祖父がいたのを気づいた瞬間,その男が目の前に立ち,真っ白な手で裕一の頭を優しく撫でた。 『裕一……あいつを連れて行く。あいつで最後だ。俺たちは,あいつもそれ以外の女たちも怨らんじゃいない……国から大金が入るって調子に乗ってたのは俺たちだ……だけど,ケジメってのがあってな。連れて行かなくちゃならん……』  男の言葉は頭の中に直接流れ込んでくるようで,まるで降り積もる雪のような静寂さと冷たさが身体全体に拡がっていった。 「婆ちゃん……みんな怨んではいないって……」 「え……?」 「爺ちゃんたち,自分たちが調子に乗ってたって……」 「え……?」 「ただ,ケジメだから連れて行かないといけないんだって……」 「え……裕ちゃん……?」 「婆ちゃんが最後なんだって」 「なに……? 誰がそんなことを……」 「爺ちゃん。爺ちゃんたち,祀りの間,ずっと婆ちゃんの周りにいたよ。ずっと取り囲んでた」 「え……?」 「婆ちゃん,ごめんね……。俺,ずっと視えてた。爺ちゃんたち,婆ちゃんを連れていくって」 「え……? なに……?」 「爺ちゃん,もう,行くって……」 「え……?」 「婆ちゃん,あっち行っても元気でね……」 「え……? あっち……?」
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