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高槻が指を舐めながらページをめくると,古い神社も一緒に池の底に呑み込まれている事が書かれ,本家の建物と並ぶように神社の写真がファイルされていた。
「この神社の神主をしていたのが,高槻一族だ。俺の先祖ってやつだな。俺の祖母が……山村から嫁いだ先だ」
突然,雄一の頭の中で話し掛けられるような声がすると,背を向けたドアが激しくノックされ,ドアの向こうで悲鳴が響き渡った。
「うわっ! なに? なんなんだよ!?」
その音は高槻には聞こえていたが,沙月には聞こえず,声を上げて怯える雄一を沙月は心配そうに見ていた。
「いまのは随分とハッキリ聞こえたな……。池の底に降り積もるゴミや土砂の量が限界なんだろう……そろそろ掃除をしてやらないといけない時期か……」
雄一は不安そうに沙月の手を握りしめ,高槻を見た。
「あの……高槻さん……俺,全然意味がわからないし……さっきの悲鳴もドアを叩く音もなんなんですか……?」
「あれが山村一族だよ……この土地に生き埋めにされた」
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