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二人は家に帰ると,まだ整理できていない食器をどこに仕舞うか,新しい家具を買うかなど話ながら家の中を歩き回った。
二階の窓から見える貯水池は高いフェンスに囲まれていたが,それ以上に高い木々に囲まれて不思議な静けさを保っていた。
「あの池,昔は釣りとかできたんだって。あんなに厳重に囲まれたら,なんか寂しいっていうか,ちょっと可哀想だよな」
「え 可哀想って? 池が?」
「いや,なんていうか,昔はこの土地の人たちにとってはあの池も生活の一部だったんだろうなって。それにほら,昔の池とかって土地の守り神とかいそうじゃん」
「え? 雄一ってそんなロマンチックな事言うんだ?」
雄一は沙月に揶揄われて恥ずそうにしながら,僅かに見える池を眺めた。
「あの池……なんか惹かれるんだよな……なにか心に訴えかてくるというか……」
「え,ちょっと怖いんだけど,大丈夫?」
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