第1話 ハロー、残念なお兄ちゃん

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 思いがけず僕たちは話し込み、そのままするっと意気投合。  仲良くなった決め手は三つ。  一つ、共通の趣味があったこと。 「私、ホラゲーが好きなんだけれど、謙太くんもやったりする?」 「プレイはしないけど、VTuberの配信は好きでよく見てるよ」 「え⁉ 謙太くんも、動画配信とか見るの⁉」 「意外だった? まぁ、ホロライブくらいしか見たことないけど」 「いいよね! ホロライブ!」  二つ、どっちも似たような性格&学校での立ち位置だったこと。 「私ね、学校では『王子』って呼ばれてて。ほら、身体が大きいのに胸がないから」 「僕も学校では『メガネ』ってあだ名だよ。安直だよね」 「ほんとにね。困ったことがあると『王子! 助けて!』って頼られて。私、本当はそういうキャラじゃないのに」 「僕も『メガネなんだからなんとかしろ』って言われるな。知るかよ、メガネがなんでも知ってると思ったら大間違いだっての」 「だよねだよね!」  三つ、咲ちゃんが微妙に僕の学年を間違えていたこと。 「あれ? 謙太くんって、同い年じゃないの? 高校一年生じゃ?」 「二年生だけど?」  これは僕のポン。  テンパって高校の学年を伝え忘れていたのだ。  なので咲ちゃんは、僕のことを同い年だと思って、ちょっとパーソナルスペースを詰めていた。  これが逆によかった。
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