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ことの真相
もう1年前の冬の寒い日。高校に入ってすぐに付き合い始めた、クラスメイトの彼から突然、
「別れよう」
そう言われて頭が真っ白になった。ややあって、
「ちょっと、それってどういうことなの!?」
そう言うのが精一杯だった。
「実は……、難しい病気にかかってしまって、あと半年持つかどうかって、お医者さんに言われたんだ」
「そんな!?」
「黙っていようかとも思ったんだけど、近いうちに入院しなければならないし、退院できるかもわからない」
あまりのことに目の前が真っ暗になった。彼が続ける。
「ボクが死んだ時、キミと付き合ったままだと余計に悲しむことになる。入院中は新型ウイルスのせいで会うことも出来ない。だから」
「いや! 絶対別れない!」
私は彼の腕を握ってそう言った。彼は黙って涙を流している。
「私がついてるから。会えなくても信じてるから! 治るって!」
「……」
別れることの無いままに、それから2週間後、彼は入院した。
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