未来を思い出して

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 真木が振り返って、足を止めたままの僕に首を傾げた。何でもないと首を振って追いついて、二人で東門をくぐる。 「危険を知らせるために使うのが正しいんだっけ」 「そうそう」  真木は頷いた。  立派な柱も柵もない、車止めのポールが一本生えただけの入り口。大学なんて全員が顔見知りでもなく、部外者だって簡単に入れる。  駐輪場を過ぎて、腰ほどの高さの生垣に囲まれた小道へ真木が進む。二人並ぶと肩がぶつかってしまう幅しかないこの道は、風情を重視したのか設計を間違えたのか、今となっては誰も知らないのだろう。 「本当はあっちが避けないといけないよ」 「狭い道だと難しいけど」  サークル棟が見えてくる。こんな風に狭い道だと避けられないから。そう、スピードを落とすとか待つとか、そうしないと――  小道の最後で生垣が途切れて、土の地面は半円に広がる。真木が大きく一歩、アスファルトとの境界線をまたいで、大きな常緑樹の影に入った。 「ねえ」  真木が片足を軸に回るようにして振り返った。僕は土の上に取り残される。 「誰をごみにしたいの?」 「――え」  目がすうっと細められる。口元がわずかに持ち上がる。 「誰を捨てて燃やしたいの? 誰のお葬式をしたくないの?」 「え? や、誰とかじゃ」  流れるように真木は喋る。周囲の音は消えていた。 「何で死んじゃった生き物に、おめでとうって言うようになったの?」
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