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オレ達がショッピングモールに到着したのは、午前10時半を回っていた。このショッピングモールは昨年増築が済み、店舗数も増えている、けっこう大きなショッピングモールだった。高知市の中心地から北方にあるが、駐車場が広いためか。人気のスポットになっていた。
店舗のディスプレイはどこもバレンタインデー仕様となっている。今日は日曜日でもあり、朝から人が多かった。
平凛のお目当てはウニクロのバーゲンらしく到着すると真っ直ぐにそこに向かい、女性物のコーナーに入って行った。オレは男性物の服を見ていたが、10分もせずに…飽きた。
オレは平凛に
「2階の本屋にいるから」
と言ったら、
「ダンナ様、一緒に見て下さいませ…」
と少し心細そうな顔で見つめられたので、
「わかったよ。向こうの通路にいるから呼んでもらえるか?」
と言うと、
「私のそばにいて、似合っているかを見て欲しいのです…」
「わかったよ。どの服だ?」
「これでございます…」
と見せたのは、ブラとショーツのセットだった…。
「どの色が似あっているのでしょうか?私にはよくわからなくて…」
平凛は自分の身体にあてがいながらそう言った。
半径5m以内にいた女性客が一斉にオレの方を見てくる…。
(何このオヤジ…変態じゃないの?)
という心の声が聞こえてくるようだ…。
おそらく娘を連れた親父が娘の下着を選びに来たと思っているに違いない。
オレは仕方なく、商品から目を離し、わざと反対を向いて、
「それがいいよ」
と適当に指さしたつもりだった…。
「キャア、ヘンタイ!」
いつの間にかオレが指さしたのは、通りがかりのとても体形の丸いおばさんの胸に直撃したみたいだった…。
「ちょっ、違っ、ごめんなさい。失礼しました…」
平凛が、
「あんなオバサンがいいんですか?」
「いや、平凛、黙っ、静かになぁ…エヘヘ…」
丸い女性客は「失礼ね…」と足早に去って行った。
今ので再度周囲の女性客からは、冷たい視線の集中砲火を浴びることになってしまった…。
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