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人ならざる者。
鬱蒼とした木々の中を歩きながら、彼女は僕の機嫌を直そうとしている。
「エルム。 いつまでも落ち込んでないで、ね?」
僕はその声には返答せず代わりに頬を膨らませる。
「もう~いつまで怒ってるの?」
今度はしかめっ面で返す。
「仕方ないじゃん……ルルドは私達より2つも年上なんだし。 それに、これは遊びだよ?」
「……仕方ないもくそもあるか」
ようやく言葉を返すが、依然機嫌はよろしくない。
「ほんと、エルムは子供なんだから」
困った様に僕を子供扱いするこの少女は、幼馴染のレンカ。
僕と同い年の13歳――でも、同い年の筈なのに、僕なんかより余程しっかりしている。
今日、僕達は友達と一緒に森の中で鬼ごっこをしたのだが……僕はすぐに捕まってしまったのだ。
正直、悔しい。
けど――いつも機嫌の悪くなかった僕を慰め、励まし、寄り添ってくれる彼女に僕の心は惹かれていた。
茶髪で黄色の肌を持つ僕とは違い、レンカは艶のある美しく長い銀色の髪。
肌も雪の様に真っ白で、同郷の者とは到底思えない。
僕の暮らす村、パスタの村でも彼女の様な容姿の者は他にいない。
〝異質〟な存在だ。
神々しくもある。
だって、だって……スゴ~く、可愛いんだもの! 美形であるのは当然なのだが、それだけではない。
凛とした瞳なれど何処か儚さも感じるその眼差しで見詰められると、僕のお胸はドキドキが止まらい……鼓動が加速してしまう!
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